薬飲んだ後全身に出た痒みを鍼で治療する
患者さんより紹介
先日、先生のお弟子さんが池袋で開業されてると聞いたのですが、お店を教えていただけないでしょうか？
小竹向原に住んでるので近場だと池袋が良いかなと思いまして。
彼女は、先週、咳と鼻水が出て、風邪か花粉か分からないので、神秘湯・カルボシステイン錠・ベポタスチンベシル酸塩錠を処方されたそうです。
一日分飲んだら、全身真っ赤になってしまって昨夜がピークだったそうです。
患者 Ｔ.Sさん 女性 34歳
事務職
《初診》
2018年3月10日
《問診》
3月4日に頭に発熱、咳か出て病院に行ったところ、風邪が花粉症か分からないので、上記の薬を処方された。
風邪と花粉症の薬両方である。患者はこれまで花粉症の症状はない。
3月5日の昼まで薬を飲んだが、夕方から手足の四肢と臀部にかけて熱を持ち真っ赤になる。
3月6日に病院に行くと「薬を飲まない方が良い」と言われました。
その日の午後に両手両足と臀部にかけてすざましい痒みが襲いました。
薬疹の痒みを治める鍼治療
《初診脈診》
労熱湿鬱の肝虚（六部）。
最初に百会のツボを補法で治療すると痒みは半減。
残りの痒みと熱を取るべく、陰虚陽実（風熱傷寒）
心経と脾経の陰虚陽実症状として治療
・胃経の井穴、栄穴
・大腸経の 〃 の瀉法
治療したところ…
さっきまでの痒みはすぐに治まりました。
しかしながら、赤くなった皮膚は未だ熱く（少し冷めましたが）、再発は十二分に考えられる為に治癒には二ヶ月ほど時間がかかると思われると患者さんに話しました。
『痒みは熱なので』
辛いもの、味の濃いもの、過食は控えていただくようお願いしました。
当患者さんは、以前も風邪の際にアスピリンを飲んだところ薬疹が出たようです。
このよう薬疹による副作用を【医原病】と言います。
《3月11日》
経過
昨夜はライブに出かけて夜八時から足が痒くなった。
就寝は25時と遅かったが、今朝は10時まで眠れた。
来院時、臀部の痒み消失。昨日は私の手が冷たいと思うほど両太もも、両前腕に熱さがあったが、今日は私の手が温かく感じるほど熱が抜けていた。
脈診
気虚風熱肺虚
治療
風熱傷寒実熱。
※本治方治療後 気口(沈大滑) 人迎(沈渋緩)に変化。
全身の熱が落ち着く。局所に二か所のみ痒さが残る。
脾経の兪穴。腎経の合穴の補法。章門の瀉法。
本日の治療を終える。
陰虚陽実と労熱について
規定量のです体力を消耗したときに、予備タンクを使用している危険な状態である。
このときにカラダは消耗した陰と折り合いつける為に陽気を膨らませ実しさせる。
実した陽気は【熱】を生み出します。
熱は…
・カラダをのぼせさせて下半身を冷やす
・体表を乾燥させて『痒み』を発する
・頭部の異常（頭痛、めまい、耳詰まり…）
・関節の痛み
など…を発生する
労熱は三段階ある！
陽実と陰虚陽実との違いは
【陽実・陽盛】は邪気と戦う熱、または正気のエネルギー熱（運動、食事）に対して。
【陰虚陽実】とは『相火』の病である。
『相火』と『君火』はそれぞれ『位』『明』とバランスを保っている。
『相火』は情慾を持つことで、『元気の賊』と化し、偏って君火と相火が不調和をおこして火の病としたのもである。
ゆえに陰虚陽実をなす『陰虚火旺』
【陰虚陽盛】は同じ労熱でも君火の火が安定しているものは、単に陽盛を成し治療法としては陽気を輸瀉する。
医原病について
医原病とは…
今回の患者さんのように発熱と咳を発症した際に、自然治癒力に任せずに、投薬によって病が悪化したものを言います。
この場合、薬出したお医者さんも、薬をやめてくださいの一言で解決してしまいますが…
そもそも『花粉症』と『風邪』を判別出来ないからこのような余計な病気を招いてしまったのです。
風邪には花粉症と違って眼の痒みはありません。また。咳とくしゃみは明らかに違います。
何よりも脈診すれば、一発で解ります。
普通の蕁麻疹による痒みは二ヶ月も治癒にかかりませんが、医原病による薬疹の痒さは、自然治癒力をねじ曲げて発症したもので、非常に治りが悪いです。
慢性疾患や急性疾患で…
・痛み止め
・抗生物質
・精神安定剤
など…と容易に投薬すると、その病気は根本てきに治らず、慢性化してしまいます。
『クスリ』は逆から読むと『リスク』
お医者さんに言われるままで良いのでしょうか？
先ずは『脈診と鍼治療』を受けてみて下さい。
今回の症例のようにお医者さんでもお手上げであった『突発性の全身の痒み』が鍼治療なら3分程でウソのように解消します。